この窒素酸化物浄化装置がない、という事実が、今回の国土交通省の路上走行試験でもすぐれた数値を記録した最も大きな理由なのだ。
それではなぜ、マツダのクリーンディーゼルエンジンには、窒素酸化物の除去装置が必要ないのだろうか?
一般的に、ディーゼルエンジンには、排気ガス浄化装置が2種類装備されており、それぞれで排気ガス中の窒素酸化物(NOx)と粒子状物質(PM)を取り除く仕組みになっている。
つまり、各国各市場における排出ガス規制に適応させるためには、NOx用とPM用の浄化装置が個別に必要であり、あらゆる自動車メーカーにとって従来はこの技術的対応が困難で、“浄化装置2種類”は自動車業界の常識になっていた。
ところがマツダは、年を追って厳しさを増す世界各地の排気ガス規制をクリアするディーゼルエンジンの開発にあたって、この2種類の浄化装置のうち、NOx用装置を排除する、というある意味で、“非常識な”方針を打ち出したのだった。