それではなぜ、逆風にさらされてもマツダのクリーンディーゼル搭載車の勢いは衰えず、好調を続けているのか。そしてまた、国土交通省の路上走行試験でも、基準値をほぼ満たすような優れた数値を記録できるのか。
その理由を考察するには、まず、昨年秋のVWのスキャンダルの内容を振り返る必要がある。というのも、VWの行為を振り返ることによって、マツダのクリーンディーゼルの技術的そして経営的な”強さ”が浮き彫りになると思われるからだ
昨年9月、米国の環境保護局(EPA)をはじめとする規制当局の発表によれば、VWは実際に販売している製品でディーゼルエンジンの排気ガス規制を回避するための不正を行なっていたことを認めたという。
具体的には、ディーゼルエンジン車に搭載した電子制御装置のソフトウェアに細工をし、試験走行のときだけ意図的に規制モードに切り替え、通常走行のときには、排ガスに含まれる窒素酸化物の低減装置の一部または全部を無効化し、規制当局の検査に合格するようにしていた。これに該当するVW車は全世界で1100万台と公表された。