そこで雷軍氏は、メディアに登場する際も黒いシャツにジーンズとジョブズ氏そっくりの服装で登場。製品発表会見でもその服装で、トークの間合いや壇上での立ち居振る舞いに至るまで、ジョブズ氏を徹底的に模倣しました。
そして経営哲学も、他人の模倣はせず、徹底した効率主義&業界慣習の“逆張り”というジョブズ氏の精神を忠実に踏襲しました。例えば、自社のスマホは11年に「Mi1(小米手機)」を発売して以来、基本、年間1機種しか販売せず、おまけに販売は携帯キャリアからではなくネット販売のみ。
さらに広告費は1円も使わず、交流サイト(SNS)といったネットでの口コミのみに頼るマーケティング戦略を展開。社名にちなみ「米粉」というファンクラブを中国全土に設立し、常に会員から自社製品への要望や改善案などを募集。それを新機種に反映させるという徹底した“顧客至上主義”を貫きます。
こうした徹底合理化策でコストを削減するので、スマホの方はサムスンやアップルと何ら遜色のない高性能ながら、価格の方は何とほぼ半額に。実際、14年7月発表の「Mi4(小米手機4)」だと、5インチ液晶画面やソニー製の1300万画素のカメラを備えているのに、価格は1台1999元(約3万8000円)とアイフォーンの半額以下とあって、中国の若者が競い合うように買い求めました。