経営再建中のシャープが、米アップル向けにスマートフォン用の高精細液晶パネルを生産している亀山第1工場(三重県亀山市)で、専属契約を見直すことで合意したことが2日、分かった。需要が堅調な高精細パネルの取引先を広げ、稼働率を安定させて業績てこ入れにつなげる。シャープは年内にも中国メーカー向けなどに生産を始め、液晶事業の立て直しを図る。
高精細パネルを生産する同工場はアップルが自由に使える契約のため稼働率の変動が大きく液晶事業の不安定要素だった。
シャープの液晶事業は競合するジャパンディスプレイの台頭や、スマホの大型化に伴うタブレット端末向けパネルの不調で苦しんでいる。テレビや太陽電池など各事業も軒並み赤字で、2015年3月期連結業績予想を下方修正し、300億円程度の最終赤字に転落する見込みだ。
一方で、スマホ向けの高精細パネルは中国メーカーを中心に依然堅調な需要がある。現在、中国向けの高精細パネルは亀山第1と隣接する亀山第2や、三重第3(同県多気町)で生産しているが、亀山第1でも中国向けの生産を始めることで、供給態勢と稼働率の安定を図る。