しかし現在、MVNOのほとんどはNTTドコモのネットワークを借りてサービスを展開しているのが実態だ。
KDDIも、光回線サービスを通じて関係が深いケイ・オプティコムにネットワークを貸しているが、大局的にみれば「伸び盛りのマーケットを舞台に、ドコモだけがMVNOからのネットワーク利用料を稼ぐ」という“独り勝ち状態”が続いている。
こうした状況を、KDDIの田中孝司社長は「不健全な市場環境だ」と息巻くものの、指をくわえているだけでは流れは変わりそうにない。なぜなら、ドコモは総契約者数が最も多いため、KDDIやソフトバンクより回線接続料(ネットワークの利用料)を安く抑えられるからだ。
ドコモは14年度上期(4~9月)の契約純増数を前年同期の約5倍、119万件と大きく伸ばした。しかし、その中身をみると、MVNOへのネットワーク貸し出し分が約半分を占めている。携帯ニーズの伸びは頭打ちとなってきただけに、ネットワーク貸し出しで利益を稼ぎ出す必要性は増すばかりだ。