大原さんによると、日傘はもともと19世紀のフランスで文化として花開いた。フランスの印象派の画家、モネも、日傘の女性を描いている。現代のヨーロッパではどういうわけかその習慣が廃れ、日本のみで定着している格好だ。ただ、ビーチパラソルや庭に置くガーデンパラソルは大きな市場になっているという。
一方、日本では和服とともに日傘は愛用されたが、若い女性には人気がなかった。変化が起きたのは、二十数年前にUV(紫外線)用の加工がされた日傘が市場に出てからだ。それまでUVカット率は50%程度だったが、UV加工の日傘は80~90%台のカットが可能になった。このため、若い女性もさすようになり、現在のように若者から年配まで日傘をさす習慣が広がった。色はかつて白やベージュが多かったが、遮蔽率が高い黒が主流になったという。
大原さんの説明では、日傘をさす習慣は日本独特ということになる。
専門家は「帽子より日傘が有効」と指摘
ヨーロッパでなぜ日傘の習慣が廃れたか気になるところだが、洋傘メーカー約50社でつくる日本洋傘振興協議会広報室の担当者は「日傘について海外のデータは持ち合わせていないが、ヨーロッパでは、日が出ていると、浴びようという欲求があると聞く」と話す。
ただ、化粧品メーカーの資生堂技術広報グループによると、紫外線による「光老化」という現象が注目されており、シミだけでなく、しわや、たるみを引き起こすこともわかってきたという。こうした中で、日本では美白ブームが起こり、日傘の使用が広がっている。
日本臨床皮膚科医会理事の岡村理栄子医師は「日傘は紫外線や赤外線をカットし、その結果、熱を遮る。帽子か日傘プラス日焼け止めクリームをするのがいいが、日傘は帽子より広い範囲をカバーするので効果が高い」と話している。