韓国軍の特殊作戦司令部などエリート部隊に属する軍人が、集団で保険金詐欺を行ったとして韓国で大問題になっている。軍の中核になるべき人物たちがさもしい詐欺で蓄財に走る一方、訓練中の事故で片手を失った下級兵士には満足な治療費が支払われず、家族が涙する事態も発生。軍の実態を知った若者たちのなかには、故国に愛想を尽かし「他国の兵士」になるものも増えている。(岡田敏彦)
エリートは特権付き
韓国通信社の聯合ニュースによると、保険金詐欺の疑いがもたれているのは陸軍の特殊作戦司令部(SWC)と海軍特殊部隊(UDT)、海兵隊に空軍特殊部隊の隊員で、警察の捜査線上には約1600人にのぼっている。
現地マスコミによると、詐欺の手口はこうだ。保険ブローカーが特殊部隊員に保険加入を勧め、加入後に、虚偽の診断書を書いてくれる“特定の病院”を紹介。軍人は保険金をだまし取れる一方、保険ブローカーも多くの契約を獲得して歩合給が増えるなどといったメリットがある。保険ブローカーと“特定の病院”は共謀しているとみられている。
今年3月には捜査の第一弾として釜山地方検察庁が保険ブローカーと病院関係者計4人と、陸軍特殊作戦司令部副士官ら105人を書類送検した。捜査線上にはまだ1000人以上の軍人が浮上しており、釜山検察庁は保険会社の被害額が200億ウォン(約20億円)にのぼるとみている。