【潘基文氏発言の波紋】
韓国は2017年末の大統領選挙に向け、「政治の季節」に入った。政治に政争は付きもの。とはいえ、保守系の与党・セヌリ党の有力候補として急浮上した国連の潘基文事務総長に対し、左派の野党系メディアなどからの批判が早速始まっている。潘氏が左派の盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権時代に政府の後押しで事務総長になったにもかかわらず、現与党からの出馬を示唆したことが“変節”ととらえられているからだ。
左派系紙ハンギョレ(日本語電子版)は、5月末、「国連の潘事務総長が大統領選出馬示唆、与野党で反応分かれる」と題した記事で、野党「共に民主党」の議員の発言を紹介。
この議員は「国連事務総長として職務に忠実であるべき人が大統領選挙への挑戦の可能性を示唆していることは望ましくない。国語の時間には国語の勉強をすべきなのに数学の本を見ている受験生のようなもの」と批判した。
さらに「国連事務総長は大統領候補になる肩書ではない」と題した社説では「潘氏は彼を国連事務総長に推薦した盧武鉉大統領が死去した当時、弔問にも行かず、2、3か月後の2009年8月に済州平和フォーラム講演者として参加した際にも墓参しなかった。与党の大統領選候補を念頭にした者としては賢い政治判断だったかもしれないが…(以下略)」と恨み節を炸裂(さくれつ)させた。