もはやパニック状態…中国製超特急の夢は幻か 中南米で路頭に迷う鉄道事業 (1/5ページ)

2016.6.5 17:02

廃墟のようになったベネズエラ・サラサの高速鉄道関連工場。中国人マネジャーが去ると金目のものは次々と盗まれた。中国による中南米での一大プロジェクトだったが、現実は厳しかったようだ=3月21日(AP)
廃墟のようになったベネズエラ・サラサの高速鉄道関連工場。中国人マネジャーが去ると金目のものは次々と盗まれた。中国による中南米での一大プロジェクトだったが、現実は厳しかったようだ=3月21日(AP)【拡大】

  • ベネズエラ・チャグラマスで見捨てられた工場の入り口に立つ、中国の鉄道建設大手「中国中鉄」の文字が記されたゲート=3月21日(AP)

 中国が手がける中南米の鉄道プロジェクトが次々と頓挫している。石油価格下落で経済危機のベネズエラでは、建設現場が放棄された。カリブ海と太平洋を結ぶコロンビアとホンジュラスの計画は立ち消え、メキシコの高速鉄道は落札キャンセル後に無期限延期された。南米大陸横断の構想はブラジル政治の混乱で見通し不明だ。“米国の裏庭”を駆ける中国製超特急の夢は、幻となりつつある。(坂本英彰)

 中国の「歴史的前進」

 見捨てられ、備品や資材を略奪されたベネズエラの鉄道関連工場-。AP通信は5月中旬、南米初の高速鉄道となるはずだったプロジェクトの現状を報じた。ベネズエラ国家鉄道局から施工を請け負っていたのは、中国の鉄道建設大手、中国中鉄だった。

 2009年夏に発表された計画は、ティナコ-アナコ間470キロで12年の完成を予定。時速220キロの高速列車が走り、年間600万人の乗客と1000万トンの貨物を運んで内陸部の発展を促すと伝えられた。

契約額は75億ドルで、中国が海外市場で得た当時最大の事業だった…

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