別のセメント工場では数人の現地職員がタバコを吹かすなどし、稼働の気配はない。1年あまり前に10を超す建物で800人が働いていた工場では牛が伸びた草をはんでいた。事業の行き詰まりは明白で、AP通信は「社会主義的な友愛モデルは経済崩壊のシンボルとなり、両国の戦略的関係も漂流しはじめた」と伝えた。
ベネズエラでは1999年、チャベス氏が大統領に就任して以来、社会主義色の強い政策を実施。豊富な石油資源を元手に、低所得者に住居を与えるなどのバラマキ政策を行ってきた。
しかし原油安は同国経済を直撃し、物価も高騰して公共サービスも低下。国家鉄道局は給与遅配を繰り返し、労働組合からの突き上げを受けている。チャベス氏の後を引き継いだマドゥロ大統領に、大プロジェクトを遂行する余裕はない。
次々頓挫する中国プロジェクト
中南米ではベネズエラ以外でも、中国関係の鉄道プロジェクトが次々と頓挫している。コロンビアでは2011年、サントス大統領が太平洋とカリブ海を結ぶ鉄道計画を明らかにした。5年たつが進展の気配はなく、CNNは今年2月、コロンビアの経済省が取材に応じないと報じた。