もはやパニック状態…中国製超特急の夢は幻か 中南米で路頭に迷う鉄道事業 (4/5ページ)

2016.6.5 17:02

廃墟のようになったベネズエラ・サラサの高速鉄道関連工場。中国人マネジャーが去ると金目のものは次々と盗まれた。中国による中南米での一大プロジェクトだったが、現実は厳しかったようだ=3月21日(AP)
廃墟のようになったベネズエラ・サラサの高速鉄道関連工場。中国人マネジャーが去ると金目のものは次々と盗まれた。中国による中南米での一大プロジェクトだったが、現実は厳しかったようだ=3月21日(AP)【拡大】

  • ベネズエラ・チャグラマスで見捨てられた工場の入り口に立つ、中国の鉄道建設大手「中国中鉄」の文字が記されたゲート=3月21日(AP)

 中米ホンジュラスでも13年、中国資本による太平洋とカリブ海をつなぐ鉄道計画が公表されたが、それっきりだ。

 メキシコでは14年、中国中心の企業連合が全長210キロの高速鉄道建設工事を落札したが、突然キャンセルされた。その後に財政難などからメキシコは昨年、計画自体の無期限延期を発表した。

 中国の李克強首相は昨年5月、ブラジルとペルーを訪れ、大陸横断鉄道の検討開始で合意した。アマゾンやアンデス山脈を貫く総延長5300キロ。ブラジルの農産品などを運び、太平洋岸から積み出せるようにするという壮大な計画だ。

 しかし、実現性には多くの疑問符がつく。

 ニューヨーク・タイムズ紙は昨年10月、ブラジルの大豆生産業界幹部が「中国は金もノウハウもあるだろうが、問題はブラジル政府だ。アンデスの峰を越えるより難しい」と述べ、非効率な政府を全く信頼していないと伝えた。外国人雇用に厳しいブラジルの法律が、自国の労働者を大量に入れる中国方式と相いれないといった問題もあるという。

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