1年半の療養後、社風の異なる別のIT企業でのアルバイト経験を通して「仕事ができる自分」を再認識し、低下していた自己イメージを払拭。民間のビジネスプランコンテストにU2の企画で応募、最優秀賞を受賞した。獲得した起業資金300万円を元手に専門家や鬱仲間らの協力も得て24年、U2を公開した。
しかし、自身は体力と集中力が十分に回復しておらず、「U2の機能を強化したいのに、実現させるスピードが遅い」。そこで今春、障害者の就労支援を行う企業のリタリコ(東京都目黒区)にU2を事業譲渡した。自身は同社でU2を担当するチームの一員として編集長を名乗り、体調を管理しながら鬱当事者の声をU2に反映させている。
当初からU2に関わった英スウォンジー大講師で臨床心理士の小堀修さんは「鬱の当事者同士が交流することにはメリットとデメリットがあるが、U2はメリットが上回るように設計されている。できたことや楽しめたことを他のユーザーと共有すると、小さな達成感で気持ちが少し楽になる。何ができるか探すようにもなる」と話している。