排尿困難、夜間頻尿、残尿感などの症状が表れる前立腺肥大症。中高年男性の5人に1人がかかっているとされる身近な病気だが、放置すると、腎不全など重篤な病気になる可能性もある。最近は、投薬治療のほか、体への負担が軽いレーザー治療も行われており、大がかりな開腹手術は減ってきている。専門家は重症化する前の早期受診を呼びかけている。(兼松康)
肥満もリスク
前立腺はぼうこうのすぐ下にある男性特有の臓器で、精液に含まれる前立腺液を分泌している。正常な前立腺の大きさはクリやクルミの実程度だが、肥大化すると卵やミカンのような大きさになる。加齢によるホルモンバランスの乱れが影響している可能性があるという。前立腺肥大症は、肥大化した前立腺が尿道を圧迫し、尿の通りを阻害する病気だ。
日本大学医学部の高橋悟教授(泌尿器科学)は、「直接、生命にかかわる病気ではないが、生活の質(QOL)に強く影響する。症状が悪化すれば、アクティブな生活が困難になる場合もある」と指摘する。
「夜間熟睡できない」「アウトドアスポーツができない」「長時間、車が運転できない」「映画館や劇場などに行けない」といった悩みを抱える患者が多く、QOLの低下につながりやすいのだ。