心筋梗塞など動脈硬化のリスクを高めるとして悪者扱いされてきた食事のコレステロール。健康のためにこれまで摂取が制限されてきたが、厚生労働省が4月改訂の「食事摂取基準」でコレステロールの基準を撤廃した。日本動脈硬化学会も今月、「食事で体内のコレステロール値は変わらない」との声明を発表した。同学会は動脈硬化を防ぐには食事を含め運動など生活習慣全般の改善が必要と指摘している。(平沢裕子)
血中濃度は体内調整
コレステロールは脂質の一種で、細胞膜の重要な材料のほか、ホルモンや胆汁の原料としての役割も担う。健康診断で「コレステロールが高い」といわれるのは血液中のコレステロールのことで、濃度が高いと血管の内側に脂質がたまって動脈硬化が進み、脳卒中や心筋梗塞などのリスクが高まるとされている。
これまで食事に含まれるコレステロールを制限すべきだとしていたのは、血中コレステロールに影響を与えると考えられていたためだ。コレステロールを多く含む卵や鶏レバー、バター、エビ、イクラなどは悪者扱いされ、中でも1個に200ミリグラム超のコレステロールを含む卵は「1日1個まで」という制限が常識のようにもなっていた。