■「用具多い」「認知症」「独居」で超過も
なるべく家で暮らしたいと思っても、要介護度が重くなるにつれて難しくなる。看護師やヘルパーが夜間の緊急コールに応えるサービスも介護保険にはあるが、他のサービスと併用しにくく、普及が進まない。併用を阻む背景には、要介護度に応じてサービス量を定めた「支給限度額」の問題がある。来年度の報酬改定に向けて、見直しが検討されている。(佐藤好美)
横浜市に住む山本葉子さん(72)=仮名=は脳出血を患って以来、右半身まひがあり、車いすで暮らす。食事はできあいのもので済ませるが、1人暮らしだから自分で洗濯もすれば、片手で洗濯物も干す。
「家にいた方が気楽でいいわよ。施設の人から『今なら入所できますよ』って言われたこともあるけど、『いいです』って言ったのよ」
入所する代わりに、車いすを動かしやすいよう、床をフローリングに替えた。介護保険では電動と手動の計2台の車いすを借り、テラスに乗降リフトをつけている。玄関にスロープをつけるスペースがなかったからだ。