高齢者に多い、手や頭、声などが震える原因不明の病気「本態性振戦(ほんたいせいしんせん)」の治療に、超音波集束装置を使う治験が行われている。頭蓋骨を切開せず、外から超音波を脳の奥深くに集中照射して治療できる。これまで体への負担などから治療が難しかった患者も受けられる可能性があるという。(寺田理恵)
生活の質向上
本態性振戦は命にかかわる病気ではないこともあり、「年のせい」と見過ごされがちだ。しかし、震えがひどい場合、文字がうまく書けなかったり、箸やコップを持つことができず、食事に介助が必要となったりするなど日常生活に著しい支障を来す。
治療法は薬物療法が中心で、脳に電極を埋め込む手術や脳のごく一部を破壊する手術もある。ただ、高齢者の場合は薬の副作用や手術に伴う合併症の恐れがある。
治験中の治療法は、イスラエルに本社を置く企業が開発した超音波集束装置「エクスアブレート・ニューロ」をMRI(磁気共鳴画像装置)に接続して使用。患者が装着したヘルメットのような機器から脳のごく一部に超音波を照射し、熱変性させる。