夏の水分補給は大事だと分かってはいても、高齢者は「食べたがらない」「飲みたがらない」「むせてしまう」などで家族も困難を感じている。水分ばかりが注目されるが、高齢者は食が細った時点で黄信号。高齢者向け脱水予防のヒントをお届けする。(佐藤好美)
6月末、管理栄養士の米山久美子さんが、東京都目黒区の小島祥子さん(88)=仮名=宅を訪れた。小島さんは立ち上がりが困難で、食事や排泄(はいせつ)に介助が要る。要介護4の1人暮らしを、近隣に住む息子の誠さん(53)=同=と朝夕の訪問ヘルパーが支えている。
祥子さんはこの日、デイサービスから帰ると、夕食のオムライスを一さじ一さじ、口に運んだ。認知症の祥子さんが自分で食べるのは良い兆候。それを見て、米山さんは聴診器で飲み込みの音を確認。「食事、進みますね。ごろごろも聞こえないし」と安堵(あんど)した。日頃の食事内容や量、進み具合を聞き取って摂取カロリーを計算。体重を確認して、誠さんに「カロリーがやや少ないけれど、体重が横ばいだから安心していいと思います」と声を掛けた。