高齢者世帯が増える中、シニア向けにシフトするスーパーマーケットが次々と登場している。カートは軽くて押しやすいタイプ、袋詰め台は低く設置、総菜も少量パックといったサービスを充実。同じ建物内に文化教室、くつろげるカフェを開くケースもある。高齢者の多様なニーズに対応している。(横山由紀子)
「ちょっとだけね」
6月の昼下がり。大阪府豊中市にあるダイエー直営のスーパー「グルメシティ庄内店」では、高齢者がゆっくりと買い物を楽しんでいた。近所に住む女性(83)は少量パックの総菜を品定めし、夕飯のおかずにと、ポテトサラダ(85グラム)と焼きビーフン(120グラム)を購入した。「1人暮らしで自炊がおっくうだから、毎日、ここで少量のおかずを何種類か買います。食べたいものをちょっとだけね」。買い物途中には、店内で出会った友人とおしゃべりが弾んだ。
大阪府河内長野市の会社役員、古本俊朗さん(72)は長女の嫁ぎ先が近くにあることから同店をよく利用している。「エスカレーターのすぐそばに手すりが付いていて、乗り降りが安心。少量のおすしやサラダも高齢者にはうれしい」と話す。