高齢者の住まいに関連し、シニア世代が支え合いながら生活を共にする「ルームシェア」「シェアハウス」という選択肢に注目が集まっている。それぞれができる範囲で家事を分担、自然と入居者同士が会話を交わし、交流が生まれることで認知症対策にもつながると、利用者や家族に好評だという。(佐々木詩)
家族みたい
岐阜県八百津町の山間の集落に古民家を利用した「共同生活の家・花籠」がある。家主の波多腰和雄さん(69)、咲枝さん(65)夫妻が、高齢者が共同生活できる住居を作ろうと約5年前に開設した。現在は夫妻のほか、小山田きぬ子さん(80)、山内みなさん(71)の計4人が暮らしている。
咲枝さんは元看護師。勤めていた病院で、退院を間近に控えた高齢者の「帰る家がない」という嘆きを聞いた。「家はあっても居場所がないということだったようです。年を取ってから、そんな悲しい思いをしなくて済む場所を作りたいと思いました」。約30年前から所有していた古民家を退職金で改装、設備を整えた。これまでに延べ計26人が利用している。