約2500坪の敷地には畑のほか、竹林、梅や栗の木が生え、四季折々の自然の恵みを収穫することができる。冷え込みの厳しいある日、薪ストーブの前に集まった4人が味わったのは、自分たちで手摘みしたお茶と咲枝さんが漬けた大根の漬物。「奥さん(咲枝さん)の料理はうまいよ」と小山田さんが言うと、山内さんが深くうなずく。
料理は咲枝さんの担当だが、掃除や洗濯、畑仕事はみんなで分担。自分ができることはするというルールだ。家には段差も多い。そんな暮らしを送るうちに、歩行補助具を使用していた利用者が補助具なしで歩けるようになることもあったという。
個室もあえて設けていない。咲枝さんは「ここは、『ねえ』と言えば近くに『うん』と答えてくれる人がいる場所。他人同士ですが、家族みたいなものですよ」と笑う。