昭和62年の発売以来、四半世紀を超える長寿商品となっているモスフードサービスの「モスライスバーガー」。日米食文化の融合ともいえるユニークな商品の原点は、日本のファストフード「焼きおにぎり」だ。
モスライスバーガーの開発が始まったのは発売の2、3年前。当時、農林水産省は国産米の消費拡大を目指し、外食産業にコメの活用を求めていた。モスフードサービスの開発担当者は、コメをバンズ(パン)に挟む具材として利用することを考えていた。だが、おにぎりにヒントを得て、ライスプレート(コメ)に具材を挟むことに発想を転換したことが、モスライスバーガーの出発点となった。
最も苦労したのは、ご飯をふっくらとした状態に保つこと。手に持ったとき、ぼろぼろと米粒がこぼれては食べにくい。硬くすれば食感が悪くなり、ご飯のおいしさが損なわれてしまう。
現在、商品開発部商品開発グループリーダーを務める太田恒有氏は、先輩たちから「『コメをパンのような丸い形にきちんとくっつけることが大変だった』と聞かされた」と、当時の開発担当者の苦労ぶりを明かす。