「地域の力」に注目 制度改革の先駆事例、介護予防に「集いの場」 (3/5ページ)

2014.9.15 06:59

昼の食事が済んで、思い思いに過ごす。奥では、99歳を最高齢に雀卓を囲む。男性参加者が多いことも特徴=栃木県那須塩原市のなじみ庵

昼の食事が済んで、思い思いに過ごす。奥では、99歳を最高齢に雀卓を囲む。男性参加者が多いことも特徴=栃木県那須塩原市のなじみ庵【拡大】

  • 午前8時半からなじみ庵と利用者宅を4往復し、この日、最後の送迎を終えた伊集院さん(右)

 隣のフロアで米寿の看護師、増渕光子(てるこ)さんが認知症予防の体操指導を始めた。できない人が続出する。

 「これだけのことが、なかなか覚えられないのよ」

 「もう90なんだから、仕方ないのよ」

 「いいのよ、いいのよ。忘れないと覚えられないんだから」

 できない人の指に、隣の人が手を添える。運営するNPO法人「ゆいの里」代表の飯島恵子さんは「地元で自分らしく暮らし続けていくために、老いも若きもお互いさまでゆるやかに支え合っていきたい」と言う。

 なじみ庵のスタッフは、介護福祉士が1人。あとは利用者が、できることを見つけて「仕事」にあたる。食事の喧噪(けんそう)が去ると、元和菓子職人の男性(87)が翌日使う割りばしをはし袋に詰め始めた。

 飯島さんは「地域にはプロがたくさんいて、認められていない『もったいない力』がまだまだある。なじみ庵に来て話をするうちに、得意なこと、したいことが見えてくるし、本人もやりたい気持ちになる。『ありがとう』とか『おいしかったよ』とか言われると、役に立った実感もわく。受け身にならないから元気でいられる」と、いい循環を説明する。

住民主体の「予防の場」を作ることが課題

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