車とガソリン代はなじみ庵が持つが、運転は無償。午後の送りを担当する古賀利邦さん(72)と2人で、「でも、ランチがタダだよ」と楽しげだ。
利用者のお目当てが、なじみ庵のランチ。この日の献立は魚のフライ・トマト添え、豚肉とピーマンとタケノコのカレー炒め、焼きみそ味モロヘイヤなど。小皿の多い家庭の味が、単身の高齢者を引き寄せる。コーヒー付きで会員は300円。ランチに通っていてボランティアに「スカウト」される人が多い。
調理を担うのもボランティア。保健所には食堂として届け出ているから、調理に入る20人は全員が検便検査済み。この日は72歳を最高齢に、4人が厨房(ちゅうぼう)に立った。家で取れたモロヘイヤを刻む男性の傍らで、女性(70)が持ちこまれたトマトを切る。女性は夫を亡くして引きこもり、要支援と認定された。通い始めて、話して、泣いて、食べられるようになった。今はマージャンと調理に来る。「ここは、本当にいいのよ。日頃、世話になっている分、手も出さないとね」