野島社長は工場設立時の責任者で、トップを6年間務めた。アイデアの登用制度に加え、後任に引き継がせたのは「一緒に飯を食べる」「他の社員の前で怒らない」「昇給は理由を明確に」の3項目だった。
人前での叱責をベトナム人は「一族まで恥をかかされた」と感じるため、個別に注意する。昇給理由を公表しないと他の社員から不満が噴出する。こうした配慮に加え、普段から社員食堂でともに食事をし、社員旅行や結婚式のお祝いも欠かさない。「報酬だけでなくコミュニケーションも大切。心をつかむことは仕事の基本」と野島社長は言い切る。来年には第2工場が稼働するなど同社のベトナム進出は軌道に乗っている。