メコン5カ国で、タイに次いで進出日本企業が多いベトナムでは、製造業はもちろん、サービス業など新たな産業分野でもベトナムに根を広げる企業が増えている。今回紹介する企業は、いずれもベトナムに溶け込むことで成長を果たしている。
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□タカコ・ベトナム
■成功の鍵は「地元重視」
今年で設立から10年を迎えたタカコ・ベトナムは、ホーチミン郊外の工業団地にある2工場で、油圧機器内蔵部品の加工、油圧ピストンポンプ・モーター部品の組み立てなどを行っている。同社の最大の特徴は地元重視だ。従業員994人(11月1日現在)のうち、日本人は中村秀一社長以下、管理・技術課長と同次長の3人だけだ。それ以外はグエン・ニャット・アン・トゥ副社長以下、管理職やスタッフ、工員のすべてがベトナム人だ。
「ベトナムで仕事をするなら、ベトナム人に運営してもらおうとタカコの創業者、石崎(義公会長)が考えたから」と説明するのは、中村社長だ。
「管理・技術を担当する日本人も、聞かれたら答えるスーパーバイザーで、指示はしない。そうでないと、ベトナム人の労働者は日本人の指示を待つばかりになってしまいます」(中村氏)。同社では管理職だけでなく、工員も日本に派遣することで、技術に加え日本人の働き方を教えた。これまでに派遣した数は600人を超えた。