韓国国防省は12月8日、中国が東シナ海の広い範囲に防空識別圏を設定したことに対抗して、韓国の防空識別圏を南方に拡大すると発表した。7日間の準備期間を置いて15日から発効する。拡大範囲は、日本と中国が防空識別圏を設定し、韓国が中国と管轄権を争う東シナ海の海中岩礁、離於島(イオド、中国名・蘇岩礁)上空を含み、日中韓の防空識別圏が一部重なることになった。これによって3カ国は複雑な対立の火種を抱えることになり、東アジアの空は「一触即発」状態に陥ったと懸念する声も上がっている。
「民間は制限されず」
1951年に設定された韓国の防空識別圏が変更されるのは初めてで、拡大した防空識別圏は、国際民間航空機関(ICAO)が定めた韓国の民間航空機管制空域である仁川飛行情報区にほぼ一致する形で設定され、日中の領空には重なっていない。しかし、日本の防空識別圏に入っている韓国領である南西沖の馬羅島(マラド)、南東沖の鴻島(ホンド)の空域も含まれている。韓国国防省報道官は「国際ルールに合うもので、民間航空機の運航は制限されない」と強調。
その上で、「新たな区域内での偶発的な軍事衝突を防止し、航空機の安全確保について関係国と協議していく」と述べた。