ただ、その直後の昨年10月下旬には主力の液晶事業の変調など危機の兆しが経営陣にも伝わり始めたが、「経営環境の変化への対応が遅れた」(高橋社長)という。
誤算と後手のつけ
「厳しい財務状況だと強い危機意識がある。前の経営危機ほどじゃないという感覚は我々にはない」
会見で、高橋社長はこう強調した。その上で、2月から自身を含めた役員報酬を最大で55%削減することを表明し、「社内に危機感を伝える意味もある」と説明した。
確かに、24年3月期、25年3月期に計9千億円以上の最終赤字を計上したことを考えると、27年3月期連結決算の業績予想で、最終損益が従来の300億円の黒字から300億円の赤字に下方修正するとはいえ、2年連続で巨額赤字に沈んだ「前の経営危機」のときとはケタが違っている。