予兆は昨秋からあった。昨年10月末に発表した26年9月中間連結決算は、上半期として4年ぶりに最終黒字を確保した一方で、中期経営計画がスタートして初めて売上高、利益ともに予想を下回っており、収益力が陰りをみせていた。
業績悪化の原因は、相次ぐ誤算と経営環境の変化への対応が遅れたことだ。
国内で生産して海外に輸出する主力の液晶パネル事業は、円安の追い風を受けるはずだったが、国内のライバル、ジャパン・ディスプレーなどの攻勢で価格競争に巻き込まれ、利益が目減りした。タブレット端末向けの中型パネルも計画ほどは伸びなかった。中国のスマートフォンメーカーとの取引は計画通り15社に増えたが、中国全体のスマホ販売が想定を下回り、在庫過剰に陥った。
液晶テレビでは、北米では大型モデルの価格競争が激化したうえ、30機種以上を展開する商品戦略が浸透しなかった。逆に、国内では需要が拡大してきた高精細「4Kテレビ」のラインアップ拡充が遅れたことでシェアを落とした。