日露首脳・長門会談 保たれた絆 安倍・プーチン両氏、一時は破綻寸前 (5/5ページ)

2016.12.16 07:20

大統領特別機で山口宇部空港に降り立ち、岸田文雄外相(右)の出迎えを受けるロシアのプーチン大統領=15日午後、山口県宇部市(代表撮影)
大統領特別機で山口宇部空港に降り立ち、岸田文雄外相(右)の出迎えを受けるロシアのプーチン大統領=15日午後、山口県宇部市(代表撮影)【拡大】

 その後、民主党政権の混乱などもあり、ロシアはすっかり態度を硬化させた。プーチンの「平和条約締結交渉は日本のせいで中断した」という指摘は残念ながら一理ある。

 第2次安倍政権となり、ようやく日露交渉は動き出したが、イルクーツク声明から15年。かつて築き上げた政界や官界のパイプはすっかり細ってしまった。

 プーチンは平成25(2013)年2月、森との会談で北方領土に関して「引き分け」という言葉を使い、「勝ち負けなしの解決だ。つまり双方受け入れ可能な解決だ」と解説した。さらに紙の上で柔道場のような四角を書き、端を指しながら「ここではプレーできない。真ん中の方でプレーを再開したい」と述べた。

 だが、領土問題に関する最近のプーチンの言動は「引き分け」から大きく後退しているように見える。

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 山口県長門市の温泉旅館「大谷山荘」での首脳会談は15日午後6時すぎに始まった。

 安倍「私の故郷へようこそ。ここの温泉は疲れがとれます。これから行う首脳会談の疲れが完全にとれることをお約束します」

 プーチン「温泉に入るのが楽しみだ。だが、一番よいのは疲れないことだ」

 冗談なのか。それとも牽制球なのか。静寂に包まれた長門の夜は日露関係の転機となるのだろうか。=敬称略(田北真樹子)

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