韓国・朴槿恵大統領、任期満了前の辞任を表明

 【ソウル=名村隆寛】韓国の朴槿恵大統領は29日、国民向けの談話を発表し、友人で女性実業家の崔順実被告らによる国政介入事件の責任を取り、条件付きながら、任期満了前に辞任する意向を示した。

 朴氏は談話の冒頭「私の不覚で大きな心配をかけた点について改めて深く謝罪する」と語った。

 さらに、「大統領職の任期短縮を含む進退問題を国会の決定に委ねる。与野党が国政の混乱と空白を最小化し、安定して政権を移譲できる案を作ってくれれば、その日程と法手続きに従い、大統領の職を退く」と述べ、憲法改正をした上での辞任を示唆した。

 朴氏の任期は2018年2月まで。1987年の民主化以降、現職大統領が任期途中に辞任するのは初。

 検察は朴氏を、崔被告らと「共謀関係」にあった「容疑者」とみなしている。朴氏は検察の事情聴取を拒否し続け、国民の反発は高まる一方。退陣を求める大規模集会が5週続いた。野党主導の弾劾訴追案が12月2日にも可決する可能性も高まっていた。

 朴氏が政権の座に居続け国政が一層混乱すれば、北朝鮮の核・ミサイルなどへの対応や日韓関係にも影響が及びかねない。民心離反と国政混乱、韓国を取り巻く国際情勢など現状を踏まえた末の決断とみられる。

 朴氏は2013年2月、韓国初の女性大統領に就任。父は在職中に暗殺された朴正煕氏で、父に続き前例のない形で大統領を辞任することになる。

韓国・朴槿恵大統領の国民向け談話全文「100回でも謝罪」