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■交渉阻むオバマ大統領 断絶15年…「細い割り箸の上」
15日午後4時50分、露大統領、ウラジーミル・プーチンを乗せた露大統領特別機が山口宇部空港に到着した。第2次安倍政権発足後、何度も浮上しては消えたプーチン来日はようやく実現した。その最大の壁は米国だった。
「決めるのは日本だが、ロシアとの交渉は正しい選択だとは思えない」
米大統領、バラク・オバマは、首相、安倍晋三と会談する度に懸念と不信をあらわにした。安倍は常に「これは日露間の問題だ。どうしてもやらなければならない」と反論したが、米側は日本側にさまざまな形で圧力をかけ続けた。5月にオバマが米大統領として初めて被爆地・広島の平和記念公園を訪れ、両首脳は日米同盟の絆を改めて確認したが、その後も米政府側は「日米間の懸念材料はロシアだ」と繰り返した。
オバマとプーチンの仲は険悪と言ってよい。オバマは国際会議で「ウクライナに武器を貸与しようと思う」と述べ、各国首脳をあきれさせたこともある。同盟国・日本が対露包囲網から外れることは何としても阻止したいのだろう。
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だが、2014年のウクライナ危機に端を発する欧米とロシアの対立は逆に日露の関係を深めた。
まもなく首相在任5年となる安倍は積極的な首脳外交も奏功し、国際社会でそれなりの存在感がある。プーチンにとって、安倍と信頼関係を築くことは「ロシアは孤立していない」と世界に発信することになる。