安倍晋三首相は16日、官邸で開いた働き方改革実現会議で、2017年春闘で「少なくとも今春並みの水準の賃上げを期待したい」と述べ、賃上げを経済界に要請した。労使で決める賃上げを首相が直接求める「官製春闘」は4年連続。経団連の榊原定征会長は「賃上げの勢いを継続していきたい」と述べ、前向きに取り組む考えを示した。賃金アップで個人消費を刺激し、失速が指摘されるアベノミクスを再加速させるのが狙いだが、企業の経営環境は厳しさを増している。
実現会議には、経済界の代表と連合の神津里季生会長が出席。神津氏は「月例賃金の引き上げこそが重要だ」と述べ、ボーナスなど一時金によらない賃金引き上げを重ねて求めた。
一方、榊原会長は、賃金のベースアップは「先行きが不透明な中で重い存在になる。こちらから(企業に)強く要請する状況ではない」とし、会員企業にはボーナスを含めた年収ベースでの賃上げを求めていく考えを示した。
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企業の稼ぐ力低下
「1円たりとも負けません」。東京・白金台に昨年開店した「プラチナドン・キホーテ」は近隣の食品スーパーやドラッグストアを名指しして低価格をアピールする。都内屈指の高級住宅街に掲げられた「驚安の殿堂」の看板には違和感も漂うが、近所の主婦は「国内有名メーカーなら品質は大丈夫だから安い方がいい」と支持しており、同社の業績も好調だ。