安倍晋三首相と民進党の蓮舫代表が24日の参院TPP特別委員会で論戦を交わした。蓮舫氏はトランプ次期米大統領との会談内容の説明を執拗に要求。トランプ氏がTPP離脱を宣言する中でも承認を目指す首相を批判したが、外交上の配慮で詳細を明らかにしない首相とのすれ違いに終始した。
事実上の「党首討論」となる2人の対決は10月5日の参院予算委員会以来。蓮舫氏はまず、トランプ氏の選挙戦での差別的発言に懸念を示し、「この方が大統領になって日米関係の理念が共有できるか非常に心配した」としてトランプ氏の印象を尋ねた。
初対面、しかも大統領就任前の非公式会談の内容を一方的に明らかにすれば信頼関係は成り立たない。首相は「現職大統領がいる中で個別のやり取り(の公表)は避けようと一致した。信頼関係は約束をしっかり守るところから始まる」と繰り返した。
それでも蓮舫氏は「なぜ信頼できたのか」「本音を聞いたのか」などと追及。答弁に不満な民進党議員が机をたたいて「首相は答弁をやめて」とやじを飛ばすなど、一時騒然となった。
蓮舫氏は、首相がTPP承認に意欲を示した22日の記者会見直後にトランプ氏が離脱を宣言したことも攻めた。首相が「日本は自由主義圏第2位の経済大国として意思を示す必要がある」と説明しても、「なぜ国会の貴重な時間を使って審議を進めるのか」と述べ、すれ違いを続けた。
蓮舫氏は「自由貿易を推し進めなければならない」との考えも披露した。だが、首相を目指すという蓮舫氏が、仮にTPPが完全に頓挫した後の自由貿易の具体的なあり方を示すことはなく、またも「提案型」は空振りに終わった。