安倍晋三首相は7日に官邸で開いた規制改革推進会議で、農業改革の焦点となっている全国農業協同組合連合会(JA全農)改革について「新しい組織に生まれ変わるつもりで事業方式、組織体制を刷新してほしい」と述べ、早急に提言をまとめるよう指示した。
バターなどの原料となる生乳の補助金に関しても、指定生乳生産者団体を通して出荷した酪農家に限って国が交付する現在の制度の見直しに言及した。推進会議は作業部会などの議論を踏まえ月内にも提言を策定する。環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)の発効をにらみ、国内農業の体質強化につなげる。
首相は、JA全農の組織改革に関し「農業の構造改革の試金石だ」と指摘し、生乳補助金については「酪農家が販路を自由に選び、流通コスト削減と(酪農家の)所得の向上が図れる公平な事業環境に変える」と表明した。その上で改革実現に向け「私が責任をもって実行していく」と強い意欲を示した。
推進会議が同日公表した改革方針では、JA全農の農薬などの購買機能を縮小し、農業者の資材調達を支援する少数精鋭の新組織へと変革を求めた。日本の農産物を世界各国で販売する体制の整備も促すが、懸案だったJA全農の株式会社化は盛り込まなかった。
生乳の補助金は法制度を見直して、意欲ある酪農家にも補助金を出す仕組みへ改める。酪農家が独自の販路を開拓するなど、さまざまな選択肢から販売方法を選べるような仕組みの構築を求める。
生乳を巡って政府は前身の規制改革会議で抜本見直しを検討した。だが、参院選を控えて自民党などから強い反発があり、結論を今秋に先送りしていた。