経済財政諮問会議が働き方改革を重視するのは、日銀の金融緩和策に頼るだけでは、いつまでもデフレから脱却できないとの危機感があるからだ。労働力人口の減少による生産性低下という構造的課題にメスを入れることで、限界ともささやかれる日銀の金融緩和頼みの状況を打破する構えだ。
「経済界全体に賃上げの動きが広がり、デフレ脱却につながることを期待したい」。安倍晋三首相は会議で、こうあいさつした。
首相は諮問会議の民間議員を務める新浪剛史サントリーホールディングス社長が、平成29年春闘で3%の賃上げを目指す考えを示したことも明らかにした。
この日の会議で提示されたのは、働き方改革を通じて日本経済の生産性を高め、デフレ脱却へつなげるシナリオだ。生産性が上がり、企業の収益力が改善すれば賃上げが可能になり、従業員の消費意欲が増す。商品やサービスがよく売れるので企業は値上げに踏み切り、物価全体が上昇してデフレ脱却につながる。
民間議員はこのシナリオを通じ、日銀が掲げる「物価上昇目標2%」を目指すべきだとした。
石原伸晃経済再生担当相は会合後の会見で「(議論の方向性の転換というふうに)強く感じた」と感想を述べた。