日銀が長期金利を「0%程度」に誘導することなどを盛り込んだ金融政策の新たな枠組みを決めてから、28日で1週間が過ぎた。長期金利の指標となる新発10年物国債の利回りは4営業日連続で低下し、28日の終値は前日より0・015%低いマイナス0・095%だった。終値では約1カ月ぶりの低水準で、節目となるマイナス0・1%に接近した。長期金利の低下をどこまで許容するのか、日銀の姿勢を探ろうとする相場が続いている。
28日は、前日に欧米で国債利回りが低下した流れを引き継いだほか、日銀が新たな枠組み決定後で2回目となる国債買い入れを行ったことも支えとなり、超長期債の利回りの低下が目立った。この動きが10年債の利回りにも波及した。祝日明けの23日から28日までの4営業日でマイナス幅は0・065%広がった。
長期金利が低下を続ける背景について、三菱UFJモルガン・スタンレー証券の大塚崇広マーケットエコノミストは「日銀が金利の低下方向に対抗できるのか、どこまでマイナス幅を許容できるのか、を市場が試している」と指摘する。
当面の“壁”として意識されているのはマイナス0・1%。短期金利の目標である年0・1%のマイナス金利よりも、長期金利のマイナス幅が広がることは、日銀が許容しないとの観測が多いためだ。
大塚氏は「日銀の追加金融緩和観測はくすぶり続ける」とし、「長期金利は年内、マイナス0・150%~0%で推移するのではないか」との見方を示した。(森田晶宏)