日銀は「異次元の金融緩和」の枠組みを大幅に修正し、物価上昇率2%の目標に“長期戦”で挑む方針に転じた。ただ、新たな枠組みでも企業や家計のデフレ心理を払拭するのは簡単ではなさそうだ。
「金融政策の限界を論じるだけでは、問題の解決にはつながらない」
黒田東彦総裁は26日、大阪市で開かれた地元経済界との会合で講演し、新しい枠組みへの理解を求めた。同席した大阪銀行協会の小山田隆会長(三菱東京UFJ銀行頭取)は「経済の下振れリスクに対し、政策効果をあげることを期待している」と期待感を示した。
日銀が21日に公表した金融緩和の「総括的な検証」では、日本人の物価観は実際の物価に引きずられやすいという問題を指摘。しつこいデフレ心理を払拭するため、日銀が打ち出したのが「物価が安定的に2%を超えるまで国債買い入れを続ける」という強い意思表示だった。
従来の「2%」よりも表現を強め、「物価が緩やかに上昇していく」というシナリオを企業や家計に信じ込ませる狙いだ。
ただ、新たな枠組みで打ち出した長短金利の操作がこれを邪魔する恐れもある。現在はマイナスが続く長期金利を0%程度に誘導する過程で予想外に金利が上昇してしまうと、企業向けの貸出金利や住宅ローン金利が跳ね上がり、設備投資や個人消費が鈍る恐れがあるからだ。