鉄鋼など素材産業や自動車など製造業のほとんどが、需要に基づかない過剰な生産規模、過剰な在庫の山を抱えて青息吐息だ。そこに野放図に融資を繰り返した国有商業銀行も不良債権がいつ顕在化するかおびえる。高度成長を続ける最大の原動力となった貿易は、今年1月まで連続11カ月、前年同月を下回った。
貿易に代わる成長エンジンとなるべき個人消費は国内で伸び悩み、訪日観光など海外で消費されるばかりだ。
「第13次5カ年計画」で公式統計を信じるとして、本当に6・5%以上の経済成長を保とうとすれば、抜本的な構造改革を短期に行って国内消費を急拡大させるか、周辺国に余剰在庫を半強制的に輸出する形で不自然な貿易収入を得るか、乗客がいるかどうか不明な高速鉄道の路線をさらに建設するなど財政出動を増やすといった、いずれも手荒な方法を使うしかない。
最大の課題は、規模よりも成長の質にあることは疑う余地がない。20年までの5カ年計画でいかに構造問題を克服し、安定的な成長路線にソフトランディング(軟着陸)するシナリオを描けるか。米国を追いかける前に実行すべき経済政策は山積している。