中国経済が構造転換の遅れから「成長失速」という危険水域に近づきつつある。25年ぶりの低い水準に下降した昨年の国内総生産(GDP)成長率。中高速度の安定的な成長へのソフトランディング(軟着陸)の過程にあると中国国家統計局では説明するが、経済安定の前提となる次なる成長エンジンになかなか火がつかない。
鉄鋼や石炭など素材産業から、造船や機械、化学など「オールドチャイナ」と呼ばれる製造業が、需要無視の過剰生産や過剰在庫という自縛に加え、コスト上昇で国際競争力を失った輸出不振に苦悶(くもん)している。
つい数年前までは「世界の工場」の主役ともてはやされたが、19日にGDPと同時に発表された2015年の工業生産は6.1%増と、14年の8.3%増から2.2ポイントも下降した。
国有の製造業へは国有商業銀行が資金を供給し続けているが、中小の民間製造業は運転資金難の悪化が続く。