“人間改造”中国がタブーに踏み込んだ? 「ゲノム編集」世界の科学者らに波紋 (1/6ページ)

2016.1.16 17:08

ゲノム編集技術のイメージ

ゲノム編集技術のイメージ【拡大】

  • ゲノム編集の国際会議がまとめた声明を発表するカリフォルニア工科大のデービッド・ボルティモア教授=2015年12月、米ワシントン(共同)
  • ゲノム編集によって遺伝子の変異を修復した筋ジストロフィー患者の細胞(堀田秋津助教提供)

 生物の遺伝情報である細胞のDNA配列を自由自在に改変し、病気を治療したり優れた品種を生み出すことができる-。夢物語のような「ゲノム編集」と呼ばれる技術がここ数年、科学研究や製薬の現場で急速に広がっている。従来の遺伝子組み換え技術より格段に精度が高く、生命科学に革命を起こしつつあり、その開発者はノーベル賞も確実といわれる。しかし、生まれてくる子供の能力や容姿をデザインする行為、いわば“人間の改造”につながりかねないことから倫理面でも議論が沸騰。実際に中国ではヒトの受精卵でDNAを改変したとの報告が出ている。中国がついに禁断の領域に踏み切ったことに、科学者たちが国際会議を開いて対応を協議したほか、米ホワイトハウスが懸念を表明するなど、全世界に波紋が広がっている。(前田武)

 ホワイトハウスが懸念

 「現時点では、ヒトの生殖細胞にゲノム編集を加えて病気の予防や治療に使うことは無責任だ」

 12月初旬、米ワシントンで開かれた科学者らの国際会議が現状に警鐘を鳴らす声明をまとめた-とのニュースは、関係者の大きな注目を集めた。ゲノム編集をめぐる今回の会議には、生命科学の研究者だけでなく法律や倫理などの専門家も集まった。

「難しい問題だが、どのように扱っていくか、よい方向性が出せた」

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