【日曜経済講座】上海支局長・河崎真澄
早ければ2020年にも中国の国内総生産(GDP)がドルベースの名目で米国を追い抜き、規模で世界一の経済大国になるという「米中GDP逆転劇」の予測に黄信号がともり始めた。GDPを年間いくら積み増したかとの金額からみて、中国は07年から8年連続で米国を上回って追い上げてきたが、15年は再び米国に引き離されたからだ。このままなら、中国に楽観的なエコノミストらが描いた米中逆転劇は幻想に終わる恐れもある。
米中のGDP増大額の差は07年から14年まで中国が優勢だった=グラフ参照。リーマン・ショックの影響で米国がマイナス成長に陥った08年や09年に加え、中国が巨額の財政出動を行った結果、バブル化した11年には、中国の増大額が米国より8千億ドル以上も上回った。「チャイナ・アズ・ナンバーワン」と世界にもてはやされた時期だった。
米中逆転は遠くないとの予測もなお根強い。米中GDPの規模を比較すれば、05年に中国の名目GDPは、米国の17・3%でしかなかったが、日本を追い越して世界第2位の経済大国にのし上がった10年には39・8%に伸び、15年には米国の62・4%まで接近した。10年前には米国の5分の1にも満たなかった中国のGDPは、気がつけば3分の2近くまで拡大したのだ。