年明け早々、中国企業による海外企業買収の大型案件が相次いでいる。買収金額の総計は1月だけで、早くも昨年1年間のほぼ半分の規模に達するほどである。中国の“爆買い”は海外旅行者による日常生活用品などだけでなく、海外企業にも及んでいる。
中国は江沢民時代の1990年代末に「走出去」政策を打ち出し、海外への直接投資を積極化させてきた。2013年には1000億ドル(約11兆4590億円)を超え、14年にはついに海外からの直接投資受入額を上回った。
ところがその先頭に立ってきた石油や鉄鋼、非鉄金属など資源関連の海外投資は、多くが失敗したといわれている。あまりに強引に資源開発を進めた結果、現地労働者のストライキが頻発するなど、多くの問題を引き起こしてしまったからだ。
それに代わって台頭してきたのが、製造業などの海外企業買収である。商務省によると、昨年(速報値)は401億ドルの買収を行った。対外直接投資は約1180億ドルだったので、3分の1強は企業買収が占めていたことになる。中でも大きかったのは、化学メーカー、中国化工集団(ケムチャイナ)がイタリアのタイヤ大手ピレリを買収した案件で、買収金額は約71億ユーロ(約9090億円)だった。