出生率目標で機運を
一方で、政府に変化が見え始めた。安倍政権が「地方創生」の名で人口減少対策に乗り出したことだ。昨年末に政府がまとめた「長期ビジョン」は、2020年の合計特殊出生率が1・6程度、2030年に1・8程度、2040年に人口が一定となる「2・07」を達成すれば、政府目標の「1億人程度維持」が実現するとの道筋も示した。
これまで少子化対策が効果を上げなかったのは、戦時中の「産めよ殖やせよ」への国民の忌避感が強かったことが大きい。政治家や官僚は及び腰となり、子供が生まれてこない現状の打開が課題なのに、批判が出にくい子育て支援に比重が置かれてきた。
政府は、今回も批判を懸念して「長期ビジョン」は目標値ではないとの立場をとっているが、「2042年問題」の解決に向けて、人口減少や少子化に歯止めをかけようという政府の変化を確かな流れにしていく必要がある。