【弘兼】何かの仕事を与えられたときに、いったい何の役に立っているのかわからないけど、とにかく与えられたことだけやっている。そういう姿勢ではダメなんですね。
【柳井】自分から進んで、仕事の幅を広げていく必要があると思います。たとえば漫画でも、絵が上手いだけでは漫画家にはなれませんよね。背景取材やストーリーづくりも重要でしょうし、出版社の要望や読者のニーズにも応えなければいけない。仕事の基本は共通すると思います。
弘兼 「社長は何をしているのか」と仕事のイメージが湧かない人もいるようですが、実際には最も忙しく、いろいろと考えているのが社長ですよね。
【柳井】考えないと、会社というのはすぐ潰れますから。
「玉塚元社長は優秀。僕が異常なだけです」
【弘兼】アメリカでは、現場のブルーワーカーほど余暇が長く、トップに近づくほど忙しくなると聞きます。
【柳井】トップはすぐクビになりますが、その代わり給料が高い。日本の3倍から10倍ぐらいですね。だから多くの経営幹部には、徹底した自営業者の意識がある。時折びっくりします。家族のように付き合っていた人でも、報酬の話になると「弁護士を通して話しましょう」となる。そういうところは、外国人と日本人では違いますよね。