【柳井】僕もその通りだと思います。これは個人でも、企業でも、国でも同じで、安心感を持った途端に終わりなんです。「これで達成した」と思った途端に終わり。昔のことを振り返るのではなく、つねに将来のことを考えないといけない。だから危機感がないところには未来はない、と思います。
サラリーマンは全員が「自営業者」になるべき
【弘兼】柳井さんは以前から「サラリーマン根性」を痛烈に批判されていますよね。こうした考えを持つようになったのはなぜですか。
【柳井】零細企業を経営してきたからだと思います。大企業には、僕がさっき言った「安心、安定、安全」みたいに、自分のことだけを考える人が多かった。そういう人たちとの商談が嫌だったので、サラリーマン根性を批判するようになったんですね。
大企業にもサラリーマン根性を持っていない人もいるんですよ。そういう「いい人」は、相手のことを考えて、お互いにとってベストな形を提案してくれる。経営者感覚やビジネスセンスを持った人ですね。
【弘兼】経営者の立場からすれば、相手が自社の利益と自分の幸せのどちらを優先して考えているか、というのはすぐにわかってしまいますよね。