「明日死ぬかもしれない」「死ぬまで成長したい」
【弘兼】では、いつからいまの柳井さんに変わったんでしょうか。
【柳井】ビジネスを始めてからでしょうね。23歳のときに、親父が「これからはおまえがやれ」と小郡商事の実印と銀行通帳をくれた。もうしょうがないです。もう逃げられないと。仕事がその人をつくるんじゃないかと思います。やはり僕には商売人という感覚がありますから。
【弘兼】父親の影響もありますか?
【柳井】尊敬する部分と、そうじゃない部分、教師と反面教師の部分がありますね。その2つの間で、自分というものを自分で発見するということが必要なんだと思います。僕は飯を食うのがすごく速いんですけど、それはゆっくり食べていると親父に怒られたからなんです。それで悪い癖がついて。これは反面教師ですね。
【弘兼】なかば無理矢理に会社を任されたわけですよね。もっと自分に向いている仕事があるんじゃないか、と不安に思ったことはないですか。