【柳井】ええ。大企業であっても、零細企業のつもりで、少なくとも自分の周辺、自分の上下を見渡して、会社がどっちの方向に進もうとしているのかを知っておく必要があるはずです。そうじゃないと、たぶん仕事はできないと思いますよ。
【弘兼】自分のことだけを考えるサラリーマンには、自分の生活を守るためには、会社が業績をあげていかなくてはいけないことを理解してもらいたいですね。経営者のつもりで会社の業績を考えていれば、結果として自分の生活も守られる。
【柳井】うちの社員には「サラリーマンというのはもうない。本当はみんな自営業者なんだ」と言っています。
自営業者としても食える人でなければ、組織の中でもやっていけない。たとえば経理をやっている人は、経理という仕事の自営業者だと思ってほしい。そのうえで組織の中の経理は、数字を通じて会社全体の動きを知ることができる。だから経理をやっている人は、経理の仕事を考えながら、会社全体のことも考えてもらわないといけない。そうでなければ仕事は完結しないと思います。