「安心、安定、安全」ばかり、日本人は臆病すぎる
【弘兼】ファーストリテイリング(FR)は2009年に「売上高5兆円」という壮大な目標を掲げ、現在まで驚異的なスピードで成長を続けています。一方、日本経済の先行きは不透明です。安倍晋三首相は、我々と同じ山口県出身ですが、「アベノミクス」はどう評価されていますか。
【柳井】「第一の矢」(金融緩和)と「第二の矢」(財政出動)については正解だったと思います。安倍さんとは就任直後(12年12月)にお会いしました。そのとき「経済、経済、経済で行く」と言われたんですよね。その初心に戻られて、経済が活性化することをもっとやってもらいたい。だから「第三の矢」を本当にやってもらいたいと思います。
【弘兼】成長戦略ですね。
【柳井】成長戦略と同時に、もっと自由に商売ができるようにしてもらいたい。規制緩和はもちろん、女性の活躍できる社会にすることや、観光客だけでなく、外国人が日本で仕事をしやすい環境を整える。さらに日本人が海外に出て行きやすい状況を目指す。世界中の人々が日本に来て、日本人も世界中に行く。グローバル化が進むなかで、日本という国だけが昔に戻らないようにしてもらいたいというのが一番の希望です。