【弘兼】企業側も、クビにした社員は翌日から事務所に入れず、パソコンやロッカーも凍結してしまう。雇用関係はドライでシビアですね。
【柳井】外資系はそうでしょうね。うちは違います。辞めた人たちは卒業生として、いい関係を続けたいというふうに思っています。
【弘兼】それは外国にはない日本のいいところですね。
【柳井】いつどこで会うかもわかりません。敵であるより味方のほうがいいですよね。辞めるときには、だいたい僕のところへ挨拶に来るんですけど、そのときに「何か困ったことがあれば来てくれ、僕にできることだったら何でもします」と言って送り出しています。そういうことが、僕は大事だと思います。
【弘兼】かつての部下が、他社で活躍しているのはうれしいですか。
【柳井】活躍してくれないと困ります。「ユニクロにいたんだけど、全然役に立たなかった」と言われるのはダメですよね。「やっぱりユニクロから来た人はすごいな」というふうに言われたほうがいいですから。