【柳井】本当ですか。
【弘兼】思っていたんです(笑)。結局、25歳で会社は辞めました。ところで、柳井さんは僕と同じ早稲田大学の出身ですね。いま『会長島耕作』と並行して、『学生島耕作』という作品を連載しています。僕の学生時代の経験がモチーフなのですが、柳井さんはどんな学生でしたか。たとえば硬派だったか、軟派だったか、ぼうっと生きていたか。
【柳井】ぼうっと生きていましたね。
【弘兼】友達は多かった?
【柳井】いや、ほとんどいません。下宿にいて友達と麻雀したり、パチンコしたり、映画を観に行ったり。で、ときたま授業に行く。下宿のおばさんには「柳井さん、あなたいつも寝てますね」と言われました。あだ名は「寝太郎」でしたから(笑)。
【弘兼】これは意外ですね。世界的な企業のトップになる人は、学生時代から起業しているものかと。
【柳井】大学に入るまでは勉強していましたけど、入ってからはジャズばかり聴いていましたね。親父がせっかく仕送りをしてくれたお金は、ほとんどレコード代に消えた。ジャズ喫茶に行くよりも、部屋でしんみりと聴くのが好きでしたね。